北陸横断自転車旅行Part1. 北陸横断苦難の道編

Chapter1-3.福井県敦賀市〜福井県福井市編
2013/10/13 13:37〜17:49


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13:37 恐怖ルート



 ソースかつ丼で充分すぎる補給もすませ、さあ旅路を再開。
今日のお宿、福井市まで。
ルートはこれまで通り8号線。海沿いを走ることとなる。
しかしそこまでがまず危うい。


 ぐっと細くなった道を通りトンネルを抜け、
さらにはセメント工場の横を登っていくというルートだが
ここが滋賀から福井への県境の道、あそこの時の様に
登りつつ道が狭い。トラックが通るというところ。

 たいしたことの無い登りでも、車が通るだけでかなり恐いしんどい。
思わずげんなり、やだなあ・・・。
そう思っていたのだが、この辺などまだまだ序の口であった。



なんで円を描いてるんだろ、この道。



 一息ついて今回初めての日本海。
前回、秋田山形新潟とあの辺りで見た光景の再現を想像していたが
ここからが真の恐怖の始まりであった。



 海岸沿いはこんな感じが続く。

・道が狭い。
 よって30cm左にずれれば海、
 右に30cmずれれば車に接触。
・ガードレールはあるが、高さは腰ぐらい
 よって自転車漕ぎ中は体のほとんどがガードレールの上
・交通量はかなり多め。トラックも通る。
・海風が左前方からかなり強く吹く。(これはこの日だけかも知れないけれど)

 今、こうして旅行記を書きながら写真を見るだけでも
あのときの恐怖がよみがえるよう。
とにかく体がぶれないように必死でハンドルを握り
全神経を使って360度の危険を即察知できるように走る。
一瞬でも気を抜いたら死ぬなと本気で思った。
それぐらい僕にとっては恐い場所だった。


 満足な休憩場所などもなく、
たまにあるちょっとだけ道路が広がった場所で心落ち着かせ、
車の切れ目を見て走る。
海岸沿いは美しいのだが、そっちに気を向けている余裕などみじんも無し。
しかしなあお、車の方もイヤだっただろうなあ、自転車の存在。



 途中、海水浴場があり、そこで一息入れる。
ハンドルをぎゅっと握りしめているので手が痛い。



 意を決して出発するが、現れるのは再び狭い道。
そして崖に張り出したトンネル。
いやだーーー。
って嘆いていても行くしかないのが辛い。



 なんとか走り抜けて、東浦小中学校辺りまでくるととりあえず一息着ける。
とにかく恐いとしか言いようが無かった。

14:03 ルート選択



 しばらくは落ち着いた道を行くが、
この先で2つに道が分かれ選択を迫られる。
一つが「しおかぜライン」と名付けられた海沿いの道。
そしてそのままの8号線。



 旅立ち前に地図を見ていたら、
この先の8号は暗いトンネルを幾つも通る山道とあった。
であればそこを通るより海沿いの方が景色もいいよなあ。
なんてことを考えていた。
新潟の笹川流れ、あの時の様に。

 しかし現地でその考えは吹っ飛んだ。
またここまでの時と同じような海沿いルートであったのなら・・・。
想像するだけでも恐い。
まだトンネルの方がマシであろう、と。

 そうしてそのまま8号を行くのだったが。



 山道エリアではあるが、歩道もあるため恐怖感はかなり薄れる。
『やれやれ、海沿いに行かなくて良かった。
こっちで正解!』などと考えていたのだが、
その先のトンネル祭りが始まるとその考えも見事に消え失せる。
やっぱり狭い。恐い。


 立て続けにトンネルを抜けていく。
数百メートルぐらいの長さではあるが、こうも立て続けではさすがにめいる。
歩道も無いため、車の切れ目を見計らって一気に通り抜け。
肉体的にも疲れる。
トンネルを一つ抜ける度に地図で確認、あと幾つかと。
うんざりとしてくる。



 普段であれば後々のため、こういう所では写真を一つ一つ残しているのだが
今見返してみると、写真がほとんど無い。
確か7つぐらい抜けた気がするのだが、
もう通るに必死だったからなあ・・・。

14:36 道の駅 河野



 途中にある道の駅。
よい休憩地点として割と混み合い。海を眺めて休憩している人なども。
当初はここで一休みをと思っていたが
とてもそんな気にはなれず、とにかく早くこの山道を抜けたい。
その思いでひたすら急ぐ。


あと39km。とにかく急がねば。



 道の駅からはやや下り、やっと登りは・・・と思ったのもつかの間、
再び登りが始まり、またトンネル祭りが始まる。


 この桜トンネルはわずかながらの歩道があった。
自転車一台が通るのもやっとではあるが
あると無いとでは大違い。ありがたく通り抜ける。



 そしてさらに短いトンネルが。
選んだ自分が悪いとは言え、辛いわあ、この道。

15:00 本日の最終課題



 登坂車線のトラックプレッシャーを感じながら登り道を行くと
手前で道路が二股に分かれる。
上り車線と下り車線を分けているようだ。
その先に待ち受けるのが、本日の最終トラップ武生トンネル。



 全長約1kmのトンネル。歩行者に注意とあったが歩道は無し。
そして中はやや下っているため、車が飛ばす。
なるべく左橋に寄ろうと思ったが、水などがたまっており、
下手に走るとハンドルを取られて大変なことになりそうだ。
安全第一。それだけを考えてぎゅっとハンドルを握って進んでいく。
今思い出しても恐い。

※ 写真の撮影時間から考えると
トンネル内にいたのは2〜3分。
普段なら一瞬の世界。
これは割と驚いた。
走っているときの僕はその何倍も長い時間を体験したかの様に感じていたから。
そうか、そんなもんなのか・・・。

15:03 越前市



 トンネルを抜けるとひたすら長い下りが続き、
越前市街に入る。
こちらは路肩や歩道もあるのでやや落ち着ける感じ。


 そうやって下り続け、平地となったこの辺りで試練の海山ルートが終わったことを知る。
敦賀駅を出て約1時間半。
本当に本当に恐かった。
生命の危険を感じる道。
無事だったことを大きな声で感謝したい。
本当にそんな気分。


 やれやれと道なりに進むが、塚原、ここだけは注意した方がいい。
ここで8号線は大きく右に曲がるから。
ええ、まっすぐ行きかけて違う方向に行きそうになりました・・・。

15:12 だらだらと



 ここら辺りからはひたすらに平坦な道が続く。
坂道と言っても跨線橋ぐらい。苦しいポイントは無い。

 道路脇には広めの歩道が多くの場所でついているため
一安心。ここまでの精神的肉体的疲れもあり、だらだらと走り抜けていく。

 ちなみにこの頃、
ここまでの精神的疲労で帰ろうかとも思っていた。
とにかくそれぐらいにここまでがしんどかったというわけで。



 鯖江市内に入る。
ここもかなり大きい。
そう、こんな感じで割と街がつながった状態で続いているなあと思ったのだ、
福井のこの辺り。

 都内、特に二十三区辺りでは街が続いている
閑散としたところが無いというのが当たり前に感じるだろうが
地方に行けば街並み〜閑散〜街並みという感じが多い。
ここら辺はそれも(あまり)無く、ずっと街並みという感じがした。
人口が集中しているんだろうか?

まあ、これは僕がここまでで
あまりに閑散エリアを通り過ぎたからの感覚なのかも知れないが。



なにこれ・・・。



 この後もなんどかあったが
路肩を通っていると行き止まり
直前に真ん中の地下道を通るという所がある。
ぱっと見で看板も無く間違えやすい。
地元の人なら当然なのかも知れないけれど
よそから来ると分からないのよね、こういうの。



 ずーっとだらだら走っていたら、日が落ちてきた。
秋、10月の中旬、秋の日はつるべ落とし。日が暮れるのも早い。
福井まであと10kmほど。
なんとか暗くなる前に。急がないと・・・。

17:00 福井市



 やっとで福井市に入る。
とはいえ本日の宿はまだまだ先。
気合い入れて進む。



 途中の距離表示板では小松が登場。あと50km。
実は、最近結構走れていたこともあったりで
福井では近いなあ、もうちょっと頑張って小松まで行っちゃおうかなあ
なんて考えていた時期がある。
・・・よかった。小松に宿を取らなくて。
絶対無理だったよ、そのプラン。

17:28 福井市街



 店も車も人通りも増える。
福井市街に入ってきた。


そして8号線とはこの辺りで一旦お別れとなる。
福井駅へ向かわねばならない。



ここらまで来ちゃうとホント都内と変わらんなあ。
17:49 福井駅



 そして到着。福井駅。
少々暗くなったがなんとか無事に辿り着く。
あー、本当に良かった。無事で良かった。
今回はそれに尽きる。
お疲れ様でした・・・。

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